emotion

移動中の電車の中、少しずつ本を読み進める。
まったく読書をする気分でない時はただ音楽に耳を傾ける。
曲に耳を傾けるのに飽きたなら、また本を読めばいい。最近は数学者・岡潔さんのエッセイを楽しく読んでいる。

岡さんはとても有名な数学者だけども、選民的な発想がなく、人間的な情緒を大切にしている人で、僕みたいな数学から遠い人間でも心惹かれたりする。

岡さんはこう書いている、「数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである。

私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えてきた。」

こんなふうに、数学を自分の情緒を表現する場だと言っている所が、なんだか清々しい。どんな分野でも、情緒を含んだ自己表現の要素を含んでいなかったら、それはただの教科書の中の文字に過ぎない。

”何よりもまず、動物性を持った者を教育者にしないことである。闘争性、残忍性、そんなものが少しでもあってはいけない。”というのは、本当そうだろうなと思う。

岡さんは78年に亡くなり、この本の初版は63年頃につくられた本だけど、その時代の変化の中での危機感は、現代も無関係ではなく、色々示唆に富んだ内容のエッセイになっている。

もちろん、自然の原風景のような世界観だけではこの現実世界は出来ていないので、ややこしい偏見や不条理は当然存在する。ただ、いつも僕が個人的にいいなあと思う人は、雨が降ろうが、嵐がこようが、自分の目的地の地図を自分の手で描きながら、自分の足で歩いてゆく人で、そういう人は状況や周囲の言葉に流されないから、清々しい。

謙虚に一生懸命、自分の表現を模索していたら、どんな世の中でも、十分生きている価値があると思う。それはとても面白いことだと、一生言っていたいし、そう言う人が僕は好きだ。

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