Friday’s mellow afternoon
金曜日の午後、平穏な風景を歌ったアコースティック・ソング。
2018/11/17 out
(収録曲)
1.Friday’s mellow afternoon
[ライナーノーツ] text : shiori inaki
text:shiori inaki
次の大空へ羽ばたくためにゆっくり休んでいいいんだよ
ハッピーサッドの新譜「Friday’s mellow afternoon (フライデーズ・メロー・アフタヌーン)」は、楽し気なアコースティック・サウンドで、優しい午後の木漏れ日の中、リラックスして微睡みたくなるようなピースフルな輝きに満ちている。清明な光は澄んでいてどこまでも明るい。しかし、この何気ない日常のワンシーンの一隅には、翼を痛めた鳥が一休みしていたりする。次の大空へと羽ばたくために……。これは、病に倒れてリハビリテーションに励む友人への応援歌でもあるのだ。
ティム・バックリィ(1947-1975)というシンガ・ーソングライターの1969年発表のアルバム名から名付けられたハッピーサッドだが、ハッピーとサッドというアンビバレンツなダブルミーニングは、常に彼の音楽の根幹に通底している。大人になるほど、嬉しさとせつなさ、哀しみは共存してくるのではないか。80年代生まれの彼が、自分が生まれる前の音楽に精通し、カミュやヘッセを愛読し、ターナーや青木繁の絵を愛好すること全てが、ハッピーサッドに反映している。
「抽象画のようなおぼろげなニュアンスに音像を感じ、ハッピーサッドな雰囲気を表現していて好き」だというターナーと、「絵の中の人物が、生きている根源的な感情を訴えているように感じられて、僕の中ではハッピーサッドという言葉に置き換えられる」と語る青木繁。そんな風景をも内在させているハッピーサッドの音楽は、微笑みながらも心の奥底に仕舞われている真の感情を掬い上げていて、そのせつなさに魅力を感じずにはおれない。
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稲木紫織 / プロフィール
フリーランスライター、ジャーナリスト。桐朋学園大学音楽学部卒業。現代音楽、オルタナティブな音楽、コンテンポラリー・アート、写真をレビュー。趣味は能楽鑑賞と香道。
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Friday’s mellow afternoon lyric : HIroaki Kusano
Day, today 世界は未完成で
まだ終わる気はなさそうで
遠くへ放たれた風船は 今、大通りを埋めてゆく
メロディを忘れた8小節は静かな平和を歌う
Friday, Friday’s mellow afternoon
Sunday, sunshine make me gently
Day, today 羽を痛めた鳥は陽の光の下で休む
次の空へ羽ばたくために しばしくつろぐ時間を過ごす
時を経ても変わらないものだけがあなたを育む
Friday, Friday’s mellow afternoon
Sunday, sunshine make me gently
Day, today 雲一つない空を映す水溜まりはこの日常の
不純物を洗い出すように澄みきっているから
楽観的な気持ちで昼過ぎの眠気を受け入れる
Friday, Friday’s mellow afternoon
Sunday, sunshine make me gently