cycle

学者の福岡伸一さんの著作が面白い。

とても読みやすい文章で、分子生物学に興味はなかったけれど、考え方が興味深かった。エッセイ集も簡潔で面白い。

一般的に文系と理系という形で学問を分けがちだけれども、
根本的に、そこに横たわっている態度や考え方は変わらないと思う。
数学や化学の面白さは、色彩や音階の不思議さと同様なのだと教えてくれる。

植物の葉の形態、木々の成り立ち、海洋生物から陸上生物の造形、網膜に映る色調の変化、鼓膜が拾う音の聴こえ方、人間の心理の動き、思想の発展の流れまで、この世の中のあらゆるものが、どうしてこんな形をしているのかは謎だらけ。

その謎に対して答えを探しに行くことが、生きるということで、人の一生は実験と検証の繰り返し。
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・・・浜辺にある砂の山は、
風を受けて表面の砂を失う一方で、風が他所から連れてきた砂を山にもたらす。その結果、今日と昨日では砂の山を構成する砂はまったく異なっている。しかし、我々の目に映る砂の山は昨日今日も変わらない形をしている。

福岡さんはこの砂山を例として「動的平行」という言葉で表している。人間の身体を構成する分子も、摂取した食物の分子と半年から一年ほどで中身は全て入れ替わるのだそうだ。

普段、自分の皮膚や爪、毛髪が絶えず新生している事は視認しやすいが、
人の臓器や組織、脂肪、骨や歯の内部ですらも絶え間ない分解と合成を繰り返している。

人間の身体は新しいものを摂取しながら、古いものを体外へ捨て去ることで、常に一定の流れの中で平行状態をとっている。(=「動的平行」)

人間の身体は常に変化をし続けながら、生命を保っている。

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